2018年06月11日

スーパーで買った西瓜の種を蒔いてもまともな西瓜は出来ない理由

西瓜の種を捨てたら勝手に西瓜が出来た思い出


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庭で西瓜を食べてペッと種を飛ばしたらいつの間にか勝手に発芽してたという経験のある方は結構いらっしゃると思います。私も庭や生ごみを生めた場所から毎年のようにそのような西瓜の芽が出てきます。ですがそこからまともな収穫につながったのは今から20年以上も前の家庭菜園なんかに興味の無かった時代のたった一度だけ。昔懐かしい思い出を再び・・と何度か試みていますがうまくいきません。これは偶然ではなく昔と今とで状況が異なる種事情が絡んでいるのだと思います。そんな種事情「固定種」と「F1」について考えてみます。

芽は出て結実もするが親とは別物


スイカの収穫だけという意味ではそんなに難しい話ではありません。毎年色々な場所から発芽して成長、結実する西瓜もあります。結実までしたら折角なのでそれなりに保護して収穫適期まで見守るのですがそのほぼ全てに言えるのが親と同じような実にはならないということ。ほとんどの実はソフトボール大程度の大きさで成長が止まります。食べてみるとまあ食べられなくはないという食味が多いです。
収穫(?)はちらほらしたことがありますがスーパーで売っていたような親のようなまともな西瓜にはなりません。

固定種の野菜


果樹の品種のように最初は1本だった木の枝を接ぎ木や挿し木で苗を増殖、維持するのとは違って野菜の多くは種が基本です。じゃあ種屋さんはどうやって品種を維持するのかというと同じ品種の親から出来た実から採種します。なんだか一見当たり前のことのようでこれ昨今では当たり前のことではありません。西瓜に限ったことではありませんがこれが出来るのは固定種の品種の野菜である必要があります。

固定種とは何度も取捨選択の交配を繰り返した結果同じ形質が出来るように固定化された品種。一言で言うと収穫した実に入っている種を蒔いたら親と同じ品質の実が収穫できる品種です。


雑種第一代(F1)の野菜


高校生物を履修した方は聞き覚えがあるかと思いますがAAという遺伝型の親とaaという遺伝子型の親をかけあわせるとAaという遺伝子型の子が出来ます。このAaがF1と呼ばれる状態でこの状態の種を主力として売っているというのがほとんどの種メーカーの現状のようです。
固定種に対してF1は種を採っても親と同じ実は出来ないのが特徴です。
遺伝子型がAAとaaくらいに単純なら何代か選別すれば再現できるかもしれませんが大きさ、味、食感、耐病性、剛健性etc様々な要素を考えるとそんな単純な配列のわけがありません。
例えばAABBCCDDのような遺伝子型とaabbccddのような遺伝子型の2つの親をメーカーが確保していて掛け合わせてF1にした場合、AaBaCcDdという遺伝子型の種が販売されているわけですが収穫された果実から意図的にこの配列を再現させるのは不可能ではないにしても途方もない時間と手間がかかりますので現実的ではありません。

F1の両親は金の卵を産むにわとり


固定種も作り上げるには何代も交配を繰り返すので労力はかかります。
ですがF1の両親となる品種は偶然発生するのではなく故意に作り出しますのでさらに労力がかかります。それには個人レベルでは無理な莫大な投資が必要なのですがなぜそこまでしてF1という状態にこだわるのか。その最大の理由はF1の特性が企業が利益を確保し続けるために必要だからです。
固定種だと農家さんや家庭菜園で収穫した実から種を採ってしまうと翌年から種を購入する必要が無くなりますがF1だとそうはいきません。
F1の種を採って蒔いても遺伝子型の配列が崩れてどこの馬の骨とも分からないような苗ばかりが誕生します。そこが重要なのです。
種を購入しないとその品種の苗が作れない。F1の両親を手元に置いておくということは金の卵を産み続けるニワトリを飼っているようなものなのです。

西瓜の固定種を育ててみる


今となっては推測になるのですが20年前に勝手に出来た西瓜は固定種だったんではないかと思います。固定種であれば捨てた種から生えてきた芽が育って出来た西瓜は食べたものと同じになるはずです。当時は設備投資の必要なF1ではなくスーパーに売っている西瓜も固定種だったのではないか。では固定種を育てて収穫すれば種を捨てたら勝手に生えてきて勝手にちゃんとした西瓜が出来る昔懐かしい体験が再現できるかも・・
という発想で今年は固定種の種を買って育ててみることにしました。

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posted by suiyaki at 17:16| 果樹栽培 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする